スキップ・スキップ・ビート!

アクセスカウンタ

zoom RSS スキップ・スキップ・ビート! bR7(side:皓)

<<   作成日時 : 2007/08/20 17:29   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

「復帰第一号のお仕事が、皓君との共演なんて…偶然よね。」

 支度を終えた京子ちゃんが、優しく話しかけてきた。

「ああ。ホントにね…。」

 にっこり ほほえんで答える。
 …動揺なんか かけらも出しちゃいない…はずだ!

「…それにしても…皓君は すごく適役だと 思うけど…なんで、この役に私なの…?」

「…俺が相手じゃ不足?そりゃ…芸能界入りして、まだ2年目。ぺーぺーの新人ですけど。」

「私もそうよ!そうじゃなくて!『今』の私!
『京子さん』は、34歳で、皓君のお母さんでしょ?!」


「…ああ。」

「…それが 妖精の王女様で!皓君演じる 妖精の王子様と 恋人同士設定…!?
 無理ありすぎじゃない!?いくらなんでもっ!!」


「母さんもしきりにぼやいてたよ。この話来たとき…頑として断ろうとしてたもの。」

「どうして断らなかったのよ!視聴者の皆さんだって白けるに決まって…!」

「その一般大衆視聴者の皆様から、2位以下ぶっちぎりで 選ばれた組み合わせだから。」

「…は!?」

「厳正なるアンケート結果 見せつけられて 母さんも ぐうの音 でなかったんだよね…。」

「…っ?!」

「まあ、ヒーリング音楽のBGVで…セリフあるわけじゃないし…
母さんもしぶしぶ引き受けたってわけ。
俺の方は 新人の悲しさ。 仕事選べる身分じゃないしね。」


「…ふぅ…。…なにも…30過ぎの2児の母なんかじゃなくても…
他に いくらでも 若くて可愛いお嬢さん いるでしょうに…!」


 ため息はきつつ 京子ちゃんがつぶやいたひとことに…胸を突かれる…。

 仕方ないだろう…!どれほどたくさん 若くて可愛いお嬢さんがいたって…!
 
 ひとたび、魅入られて
 『この人しかない』と思ってしまったら…!

 いったん、虜になってしまったら…!!

 もう…。 

「スタンバイ!」

 監督の声がかかった。

 とたんに
 京子ちゃんの様子が 一変する。

 すっと
 俺を見返る。

「よろしくね…王子様」

 透明な この世のものならぬ 神秘的な笑み。

 足取りさえ 軽くふうわりと変化した…!

 一瞬で 撮影スタッフ達に流れていた空気が変わった。

 舞台は泉の側…深い森の中…は あとから 合成ではめ込む。

 ここにあるのは 合成土台になる 特殊な青いスクリーンだけなのに…!

 彼女の周りだけが…薄いベールのように光が取り巻いている!

 ふ
 …と 彼女が視線を上げ、こちらをふりむく…。

 慈しみに満ちた表情で白くきゃしゃな手を伸ばす…。

 俺の出番!

 一瞬 眼を閉じる!

 …ここしか…ない…。今…この…状況なら…許してもらえる!…演技で…すむ!!

 眼を開いて 一歩 足を踏み出した。

 彼女に向かって…!
 最愛の恋人に向かって…!!

 
画像


「OK!カット!!」

 監督の声が響いて…夢からさめた。

「お疲れ様、皓君。すごく素敵な恋人だったわよ。」

 優しくにっこりほほえんで 京子ちゃんは 俺の背中に回していた手をそっとおろした。

「お疲れ様でしたー」の声が飛び交う中、
スタッフ達にも愛想良くほほえんで、控え室に消えていく。
 
「いやー、よかったよぉ!」監督さんが、にこにこしながら 俺のところに寄ってくる。
「京子ちゃんは、当然としても、皓君 すごかった!すごくよかったよ!!」

「…ありがとうございます…」

「正直 心配してたんだけどね。いくらアンケート結果だんとつトップとはいえ、親子だし
…恋人ムード作るのは 逆に難しいだろうな…って!」

「…はぁ…」

「どうしてもだめなら、そのときは、恋愛要素抜きのに変えようって
 別コンテまで 用意してたんだけど!
まさか 君が ここまで好演してくれるなんて 夢にも思わなかった!」

「…恐れ入ります…」

「あっと ご、ごめん!気を悪くしたかな!?べ、別に 君の演技力疑ってたわけじゃ…」

「いえ!光栄です。役づくりに没頭したかいがありました。」

 即 さわやかな笑顔をつくって明るく答えた。
  
「うんうん!本当に 見事に役に入り込んでたよ!!本物の恋人同士みたいだった!!」

 だめだ…!これ以上…表情をつくろっている心の余裕がない!

「光栄ですけど……」

 親父伝授の きらびやかSMILEを 放ってみせる。

「次回は 可愛いお嬢さんとのお話くださいね?
 素敵なお姉様とでも いいですが。」


 とたんに 周囲から どっと笑い声があがった。

「OK OK。心がけとくよ。いくらとびっきりの美人でも お母様じゃな。」

 監督が 笑いをこらえながら 機嫌良く答えた。

「ありがとうございます。ぜひ、お願いします。」

 必死な思いで 何気ない笑顔をはりつけて
 スタッフ陣にも まんべんなく愛想ふりまいて控え室に戻る。
 
 ドアを閉めたとたん。
 立っていられず その場にへたり込んだ。

「お疲れさま!皓!」

 …!!

「満さん…お疲れ様です…」

 差し出してくれるスポーツドリンクを受け取り、一気に飲み干した。

「フェミニストだけじゃなく 演技力もDNAなんだなぁ〜。感動したよ!俺!!」

「やめてください!!」

「え?こ、皓!?」

「なんでもかんでも!親父、引き合いに出すのやめてくれませんか!?俺は俺です!!」

「…こ、皓…!」

 …っ!
 しまっ…った!

「す、すみません…失礼を…」

「…いや。今のは 俺が全面的に悪い…ごめんな、皓」

 ぽんっと 満さんが 俺の肩を優しくたたいた。

「おまえのあの演技は 誰のマネでもない。おまえ自身の力だ。見事だったよ。」

「…ありがとう…ございます…」

「さ、着替えてこい。次は ファッション誌のグラビア撮影だ。食事する時間がなくなるぞ。」

「…ええ。」

 ― こんこんこん ―

「はい?」

「今、いい?」

 …!京子ちゃん!

「いいよ、母さん…どうぞ」

 それとなく 第三者がいることを 教える。
 着替え終えた 京子ちゃんが 顔をのぞかせた。

「あら?まだ着替えてないの?遅いわよ、皓!」

 俺のメッセージ的確に受け取って、母親モードで話しかけてきた。

「ごめん。ちょっと監督さんと お話してて。」

「あなた、次のお仕事まで あまり時間なかったでしょう?
はい、お弁当!満さんの分も作ってきたから。」


「うわぁ!京子さん!すみません!いつも、俺の分まで!」

 満さんが 顔を赤らめてうれしそうに受け取った。

「ありがとう…わざわざ…」「どういたしまして」

 京子ちゃんは 優しくほほえむ。

「私は これで終わりだから 帰るけど、次のお仕事もがんばってね。」「ああ」

「きょ、京子さんは どうやってお帰りになるんですか!?なんでしたら、お送りします!」

 実は 秘かに『京子』ファンな満さんは、ここぞとアピールする。

つる…蓮が 迎えに来てくれるの…。だから、ご心配は無用よ。ありがとう。」

 きらめくような光の粒を残して…京子ちゃんは去っていった。

 満さんは、ぼーっとドアを見つめている。

「はあぁ…いいなぁ 敦賀さん…美人で可愛くて優しくて…
お料理も上手な 最高のお嫁さんもらって…」

「…早く移動しましょう…満さん。時間が 足りなくなります…。」

 ささっと着替え終えて、満さんを促す。

「そうだな!どうせなら、ゆったりした気分で 食べたいしな!この貴重な弁当!」

 弁当の包みを持って いそいそと満さんは 駐車場に向かう。

「皓もホントに幸せだぞぉ〜。
あんなに美人で優しいお母様なんてめったにいるもんじゃないからな!」

 運転席でエンジンかけながら、上機嫌で話しかけてきた。

「…そう…ですね。」

 助手席に乗り込み ベルトを締める。

「本当に…幸せですよ。」

 車窓から見える若葉越しに太陽の光が輝いている
 その初夏の光が…あまりにまぶしすぎて…涙がにじんできた。

イラスト「禁断の果実」 Little Edenさまより
画像
 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
ナイス
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文

スキビ素敵サイトさま

スキップ・スキップ・ビート! bR7(side:皓) スキップ・スキップ・ビート!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる