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zoom RSS 『出雲物語』〜こぼれ玉〜 bP(side:玉藻)

<<   作成日時 : 2008/02/17 19:28   >>

驚いた ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 0

 千早の両親に 背を押され
 追い立てられるようにして 着のみ着のまま 八雲の家から出された。

 夢だ
 悪い夢に違いない

 どうして…!?

 私は
 私は ただ いつものように 舞を…

「…玉藻様…帝が あちらに…。」

 恐怖におののく私の耳に
 三条祐規殿…と いわれる おやさしげな方が そっとささやいてくる。

 おそるおそる 目をあげれば
 華やかな輿のそば 長身で端正な顔立ちの貴公子が立っておられた。

 神前の舞いを披露する前
 先に出た 神楽を演じた先輩方が 袖に引っ込むや 大騒ぎをしていた

 見目麗しく凛々しく まるで絵から抜け出たようなお方だと

「さあ、おいで…」

 私に手を伸ばしてくる そのお声は とても おやさしげだ…。

 でも

 でもっ

 千早!
 助けて!!千早!!!

 輿の一間手前で 動けなくなった私に すっと その方が近づいてくる。

 私の肩を抱いて 手を握る。

 大きくて温かい手…かすかにたちのぼる伽羅の香り

 手を引かれて 輿に乗せられる。

 輿の中には 絹で包まれたふんわりした敷物が重ねられている。

 馬にひかせた長旅でも 体に響かない工夫らしかった。

「うれしいよ。私の元に 来てくれて…。」

 すぐに 私を 胸の中に抱きしめて 耳にささやいてきた。

「そなたを一目見た瞬間…わかったのだ…出雲の神が お授け下さったのだと!」

 …!

「ち、ちがいます!そんなはず!」

「…え?」

「わ、私は!捨て子です!孤児です!生まれて間もない頃に この拝殿前に捨てられ…」

 …っ!

 それ以上 口に出来なかった

 強く胸の中に抱きしめられ 口付けられ…

「きっと 神のご意志が 私にめあわせようと 置かれたのだろうよ。」

 やさしく 微笑む。
 そして 何度も 口付けてくる

 〜〜!

 こ
 こんな 深い口付け

 千早だって したこと…!

 ほほが 熱くぬれてきた。

「…わ、悪かった…!急ぎすぎた…」

 やっと 唇をはなしてもらえた。
 でも…腕は 少しも 緩めてはいただけない。

 首筋に 熱い息がかかる。

「私の名は 政親…まつりごとにしたしむという字を書くのだ。そなたは…?」

 私のあごに手をかけ じっと目をのぞきこみながら 聞いてくる。

「…た、玉藻…宝玉のギョクに…『懐風藻』のソウ…と。」

「…ほう…?漢詩の心得があるのか…?」

「い。いえ!」

「玉藻…名前まで愛らしい…そなたに よく似合う…。」

 っっ!

 しっかりと 胸に抱きしめられ びくとも動けない!

「本当に…名にふさわしい きれいな髪だ…。」

 その指が ゆっくりと私の髪を 梳いて行く
 その唇が 私の髪に触れ ほほに触れ のどに触れ…

 その熱い感触に 寒気がした!

「京に帰ったら…すぐ 儀式を行い 晴れて 妹背の契りを交わそう。」

 …?

 いもせの…ちぎ…り…?

「京につくのは7日後…今から 待ちきれなくて 心がはやるよ。」

 7日…後…?

 ぞくっ

 いもせ…夫婦…?!

 この方と!?

 さっき あったばかりの この…人と!?

「何も心配は要らない…そなたのことは 私が守る。私の全力をかけて。」

 その手が 私の背をなでてくる。

 やさしく 何度も…。

 でも
 その手さえ おそろしい!

「そなただけを 大切にする…生涯…。」

 熱くささやいてくるその声さえ こわい!
  
 千早!
 千早っ!!

 来て!
 お願いだから

 助けて!!

「玉藻!!」

 恐ろしさに震える私の耳に
 遠くかすかに 千早の呼ぶ声が 聞こえた気がした。
 

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