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zoom RSS 『出雲物語』〜こぼれ玉〜bS(side:玉藻)

<<   作成日時 : 2008/02/17 19:45   >>

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「こ、この…ご、ご衣裳やら 髪飾りやら 首飾りやら 腕飾りやら…
 い、いったい どうして これほど!?」

 有馬の宿の一室
 楓殿があっけにとられている。

「道中…休憩をとられるたび…帝が…」

 私の身につけさせては
 あれも似合う これもよくうつる…と
 それはそれは うれしそうに お買い求めになられて…

 評判を聞きつけて 次第に各地から 商人が先回りして待ちうけるようになってしまった。

「…お店が開けますわね…ここにある品だけで…。」

 額をおさえて 楓殿がため息をつかれる。

「ご、ごめんなさい…十分すぎるほどだと 何度も も、申し上げ…。」

 あまりの申し訳なさに 泣きそうになる。

 私一人のために これほど 無駄使いを…!

「いえ!玉藻様のせいではありません!どうか お気になさらずに!!」

 きっぱり言って。楓殿は 仔細に検分をはじめられた。

「…これだけあれば…儀式には 十分 間に合いますわね…さすがに 良い品ばかり…。」

 …!

 ぎ…し…き…。

「まあ…恐れ多くも 帝に 不良品つかませる愚か者は ないでしょうが…。」
 
 つぶやきながら
 楓殿は てきぱきと 仕分けられている。

 …。

 出雲を発って4日…。

 わずか4日で いやというほど思い知らされた。

 帝のご威光を!

 私たちが 常日頃 心を砕いておもてなしする国司どのでさえ
 あの方の前では 恭しく平伏なさる。

 …。

「帝のお申し出を拒んだりしたら!ご上意にそむくものとして
 そなたの保護者である私たちが 厳しく処罰されるのですよ!」

「私や妻が 牢に入れられ刑罰を受けてもいいと 死罪になってもいいというのか!?」


 私を拾い育ててくださったお二人…千早のご両親の声が よみがえる。

 本当に
 そうなさるだけのお力があるのだ あの方には!

 自害したとしても同じこと

 ご意志にさからったものとして
 きっと 八雲家にも 厳しいご沙汰が及ぶにちがいない!

 そんなことになったら 千早まで…!

 …。

 あきらめなくてはならない

 どうしても…

 あきらめよう

 あきらめるしかない

 私さえ あきらめてしまえば それでいい。

 あの方の…お気のすむまで…お仕えすればいい。

 ほんの少しの辛抱

 一月かせいぜい二月
 お気がすめば…帰していただける!
 
 お許しいただけたとて

 …もう
 おめおめと 出雲に帰れる身では ないけれど

 どこかの神社で
 舞人なり楽人なり 身を立てる方策はある!

 立てられないなら
 神の元に 早々に帰らせていただけばいい…!

「玉藻!」

 …!

「み、帝!」

 楓殿がおどろいて ふりむいた。

「失礼ですわ、帝!ここは衣裳部屋。殿方のおいでになられる場所では ございませんよ。」

 …!?

 え?

 ど、どうして このような気安い ものいいを…?

「ああ。すまないね…。有馬の美しい紅葉を ぜひ 玉藻と堪能したくてね。」

 …???

 帝のほうも まるで お気になさるご様子がない??



「…ああ、そりゃあ、祐規と楓のお父上は 私の父上の兄弟。
 二人は 私の従兄弟だからね。」


 山道をそぞろ歩く道すがら おずおずお尋ねしたら おどろくべきお返事が返ってきた。

「え!?で、では 皆様 皇族の方…!」

 じょ
 じょうだんじゃ!

 そ、そんな尊い方に 女房として つ、仕えていただくなど!!

「いや…伯父上は、おん自ら望まれて、臣籍に下られたので…
 ご身分上は 貴族…なのだよ。」


 …?

 口調が重い…。

 なにか よほどのご事情がおありらしい…。

「おかげで…結局 私に 帝位がまわってくるはめになった!
 まったく!人生 一歩先は 闇だ!」


「は…?」

 な
 なんだか ずいぶんな ご事情のような!?

「だが…」

 ぴたりと 帝のお足が止まる。

「帝になったから…出雲にきて…そなたに出会えた…。」

 私の手をとって 優しく微笑まれた。

「そう思うと…神様の思し召しというのは 本当にありがたいものだ…。」

 そっと 私を胸の中に 抱き寄せられる。

 …。

 輿に載せられてすぐ
 いきなり 振ってきた口付けに
 私が みっともなく泣いてしまったから

 それからは こうやって 気を遣ってくださってるのがわかる

 少しでも
 私を おびえさせまいと
 心を配ってくださってる…申し訳ないほどに
 
 …いい方…のようだ

 少なくとも
 とても おやさしい…方…らしい…。

 額に まぶたに そっと口付けられる。

 いつのまにか なじんでしまった
 華やかな伽羅の香りが 秋風にすがすがしく溶け込んでいた。

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