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zoom RSS 『出雲物語』〜こぼれ玉〜bP7(side:玉藻)

<<   作成日時 : 2008/03/06 00:57   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

「玉藻様 藤壺様が…ご挨拶に伺いたいと…仰せです。お差し支えなければ…。」

 御簾の外
 藤壺様付きの女房殿のお声が響く

「は?!」

 藤壺女御様と言えば 2番目のお妃さま…右大臣殿のお嬢様!
 
 ご
 ごあいさつ…って

 わ、私に!?

「いかがなさいます?」

 楓が 目で問うてくるのに、うなずき返す。

「謹んで、お待ち申し上げます。」

「ありがとう存じます。女御殿も お喜びでございましょう。」

 晴れやかな声で言って、女房殿が さっと立ち去った。

 ?????

「今度は…どんな いやがらせなさるおつもりなのかしら!」

 楓が いらついた声で 吐き捨てた!

画像


「ご、ご退出なさる!?」

 ほどなく参られた 藤壺様が 驚くべきことを 告げられる。

「ええ…。これ以上 ここにおりましても…帝の寵は あなた様のもの。
 帝にとって もはや 私どもなど 木か石ですし。」

「そ、そんなこと!み、帝には ほんのひとときの お気まぐれ!」

 み、皆様方のほうが 遙かに 大人で臈長けて 麗しくて!!

「父が申しますの。『女盛りを 空しく朽ちさせることはない』…と。
 ま。つまりは、もっと実入りが期待できそうな新たな縁談を 持ってくるつもりでしょうが。」

「み、実入り…」

「しょせん 私どもは 道具なのです。権力 財力を得るための…ね。」

「…!」

「私にだって 意地はありました。たかが 14の子どもに 負けるはずがない…まして
 野育ちの無教養な娘。いっときのもの珍しささえ薄れてしまえば すぐに飽きてしまわれる。
 …そう 噂し合っておりましたの…私たち、みんな。」

「し、失礼にも ほどが!!」

「…楓…!」

「それが…どれほど…愚かな…思いこみだったのか…イヤと言うほど 思い知らされました。」

 藤壺様が ふぅっと 溜息をはかれる。

「あの時…箏など触れたことなどなかろう…と 軽んじていたのに…あなたの部屋から
 響いてきた音色の見事さに…まず、皆 真っ青になってしまいました。」

 …あ…。

「ならば…と 皆で 謀って…当日 いきなり 曲も楽器も変えたのに…。」

 箏の代わりに 琵琶が置かれていた…あの…管弦の宴。

「…まさか…と 思って…。これでもかと 他のあらゆる楽器を 押しつけても…才の差を
まざまざと 見せつけられるだけで…。」

 …あの後
 何度も管弦の宴が 繰り返されていたのは

 私を…陥れる…ため…

「それでも 必死に虚勢を張れたのは…貴族の娘であるという 誇りのみ!
 幼い頃から 深い教養を身につけてきたのだという 自負が 私を支えてきたのです!」

 藤壺女御様が きっとお顔を上げられた。

「でも…」

 …でも…?

「あの古今歌つなぎで…その自信は 崩れ落ちました。あなたが 私をかばってくださった時」

 …!

 ば、ばれて…

「い、いえ!わ、私 本当に…」

「いいのですよ。出雲の方。皆、わかっているのです。それまで まったくよどみもせず
 すらすらと 続けていらした あなたが いきなり『覚えておりません』と言うのは不自然と。
 しかも あなたの番は まだ20人も先でしたのに…。」

 …!!!

 も、もしかして
 私 とんでもない 失礼を!?

「あの晩 父上が いきなり 私の局を訪れて…『とうてい かなう相手ではない。
 これ以上、後宮にいたとて 無駄なこと。まだまだ 若く美しい今の内に 身の振り方を
 考えよ』と しんみり語られたのです。」

 …右大臣殿が…!?

「『若い頃 恋いこがれた 尊いお方が…やはり あのようなお方だった。まさに、うり二つ!
ご容姿も。才も。…ご性格までが!張り合うだけ、空しい!』…と、泣きながら…。」

 え???

「…私はまだ若い 人生はこれからです。
後宮の置物で終わるには、もったいないと お思いになりません?この美貌!」

 晴れやかに 藤壺女御様がお笑いになる。

「え?は、あの…。」

「おっしゃるとおりでございます!藤壺女御様!!」

 なんとお答えしていいかわからない私に代わり 楓がさっと答える。

「お美しくて才能豊かで!お人柄も明るくお優しくて!
 あなた様ほどのお方なら、この先 縁談など 降るように舞い込んでこられます!」

「ありがとう、私も そう思うわ。」

 にこりと ほほえんで
 藤壺女御様が 円座から降り、姿勢を正される。

「出雲の方、まだ、きちんとお礼申し上げておりませんでしたけれど、あの折りには、本当に
 お心遣いありがとうございました。」

 きちんと 頭を下げられて仰天した!

「そ、そのような!」

「あなたさまは よき皇后に おなりでしょう。そのときを、影ながら 楽しみにお待ちします。」

「…皇后…?!」

「帝は この先 決して あなた様以外の女性を お側にお寄せにならないでしょうから。」

「そ、そんなこと!!」

「…そういうところも…あなた様の美徳の一つですけれど…いつまでも それでは あまりに
 帝がお気の毒ですわ。出雲の方。」

 え?え?

「では、これで失礼致します。なにぶん、いた年数だけは ムダに長くて…部屋を引き払うにも
けっこう 大騒ぎですのよ。」

「藤壺女御様!」

 女御様は 優雅に立ち上がられた。

 あわてて 呼び止めたものの おかけする言葉が見つからない!

「藤壺女御様。どうぞ 良き縁に出逢われ お健やかにお幸せにお暮らしくださいませ。
 僭越ながら 心から お祈り申し上げます。」

 かわって楓が 完璧な挨拶をしてくれる。

「ええ。ありがとう。では、ごきげんよう。」

 にっこりわらって 優雅に去っていく 藤壺女御様のお背中に向かって平伏した。

「ありがとうございました!」

 なぜか そう言っていた。

 その言葉しか出なかった。

 自分でも
 なぜだか わからないままに…!


イラスト「扇」(『HEAVEN'S GARDEN』様より)
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